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お客様インタビュー
お客様インタビュー
「ぶどう作りがおもしろい!」 商品の価値を高めていくのが、これからの農業
ぶどう農家
高桑さん
うちは父の代から干し柿やぶどうなどを作っていましたが、父が亡くなってからは柿畑を人に預けていました。ぶどう農園を本格的に始めたのは、今から4年前。はじめは母親がやっていたぶどう畑を手伝いながら、品種を除々に増やしていったというような感じです。
母親の手伝いで農業に着手、高く売れるぶどう作りが面白い
僕は大学を卒業後、研究職として大学へ就職しました。でもしばらくして、生産性の上がるような、もっと具体的な“もの”を触りたくなり辞めてしまったんです。何も決めずに、富山の実家へと帰ってきました。
帰ってからは、建築系の仕事をいくつかやっていたんです。そこから3年くらい経った頃、母に教えてもらいながら、ちょこちょこと畑のぶどうを触り始めました。
あるとき、巨峰がうまく育たなかったことがありました。しかし県の普及員の人の話しを聞いて指示どおりにやってみると、回復したんです。当時はまだ種ありの巨峰が高く売れる時代だったこともあり「ぶどうを育てるって面白いな」と単純に思ったことがきっかけで、ぶどう農園を本格的にスタートさせたんんです。
ぶどう農園を本格始動、農家仲間をモチベーションに
育てることも面白かったのですが“ぶどう農家の仲間”ができたことも、僕にとっては大きなきっかけでした。ある日、県の普及員の方がぶどう農家のための研修会に誘ってくれたのですが、僕より若い人たちがけっこういたんです。お付き合いが始まってからは、彼らの畑などを周らせてもらい「こんな風にやるんだ、俺もやりたいな」とモチベーションが上がっていきましたね。
もともとは巨峰とスチューベンという昔ながらの品種を主に作っていました。その後、ピオーネなどをちょこちょこと。いろいろ植え始めた結果、現在は20種類ほどの品種があります。有名どころだとシャインマスカットや巨峰系などです。販売は、100%直販売で。裏の納屋を空にして売り場にし、盆すぎから10月の終わりくらいまで売っています。
干し柿づくりの師匠に習う土作りと干し柿づくり
父の持っていた柿畑は、近所の高木さんという方に託していました。高木さんは、僕の柿の先生でもあるんです。僕、高校の頃、干し柿って大嫌いだったんですよ。黒いし固いし、甘さも好きじゃなかった(笑)。でも高木さんの柿を食べると、本当に美味しくて! 全然“もの”が違うんです。仕上がりは赤く、さくっとした歯ごたえ。口の中ではようかんのような食感を持つ。これはすごい本当にすごい、と思いました。
そこで、高木さんに育て方を聞いてみたんです。するとまぁ、作り方の工夫が半端なかった(笑)。僕の栽培方法はこれまで、しおり見ながら「何反あたりに肥料がどれだけ、化成肥料はこれだけ」などと、一律に書いてあるものを目安にやっていたんです。でも彼の畑は明らかに違う。化成肥料の使用はゼロ、発酵系の肥料のみなんです。
時間と労力をかけるのではなく、効率的な農業を目指す
木は一年を通して適切な処理を行うことで適切な姿になり、さらにそれを支えているのが地面や太陽なんです。土づくりに関しても、しかるべき配分と量、タイミング、ということを意識するのが大事だと知りました。ポーマンを使っていた高木さんが信頼を置いているのが、古くから付き合いのあった吉田さんと言うことを知り、僕もいろいろと相談にのってもらうことにしたんです。
吉田さんは僕に、ある程度分解した状態の肥料(ポーマン)を提供してくれました。そしてそれはとても即効性があった。農業は10年くらい研究しながらやるもんだし、大変な手間と労力もかかると思っていたんです。でも、時間をかけるよりも近くの先生に習った方がいいし、苦労して作るよりも手っ取り早いと思いましたね。
人と同じはダメ、自分らしい畑を作る
僕の場合は畑の規模も小さいし、やっぱり人と違うことをやらないとダメ。たとえばぶどう一つをとっても、ヨーロッパ品種は気難しいところがあってあまり人はやらないんです。だから僕が作る。障害も山ほどあるけれど、そこに対応するためにも吉田さんに相談しながら、土作りをしっかりして乗り越えていきたいと考えました。
ポーマンを使った畑の様子を見ていると、これまであまり色付かなかったものが色付きはじめたり、もともと水っぽい品種の実も中に繊維質が残るようなサクッとした歯ごたえになったり。皮もパリッとした感じになってね。「なにこれ、すげー!」って(笑)。そんな実感を得たことで、ますます吉田さんの話を聞くようになりました。土作りに関してや植物の原理など、機会あるごとに勉強させてもらっています。
これからの目標はとにかく“良いぶどう”を作ること
うちはまだ若い木なので、今は予定収量の半分ほど。玉の大きさも小さい。技術的な問題も多々あるけれど、狙い通りにできたときは喜びに変わります。今は必死でもありますが、ぶどうを作るのが楽しいですね。目標は、まともなぶどうを作れるようになること。いいものさえ作っていければいいと思っています。
吉田さんには、欲を言えば肥料の成分表示や効能などを具体的に提示していただきたいかな。僕は理系なので、やはり興味があるし説得力も増すと思います。あともうひとつは、この仕事を続けていただくこと。僕は吉田さんの時代が、もう来ると思ってるんですよ。世間では「いかに手を抜いて、大量に作るか」という指導もあるけれど、それはもう限界だと思う。吉田さんはそこらへんとスタンスが全く違うんですよ。商品の価値を高めていく努力をしていらっしゃる。環境を含めて、さまざまな視野で農業に取り組んでいる。これが今の農業だと思っています。